学院長日記 「命がけ」 |
これは、あくまでもプロに匹敵する実力を有するミュージシャンを目指す人に関するお話です。
そんなミュージシャンを目指す人に、時々音楽理論をあまり知らずに音楽を演奏したり作曲したりする活動をしている人がいます。残念ながらそれは、あまり良い事ではありません。なぜなら音楽は理論やルールで成り立っているので、それを無視しては作れないものなんです。
例えば、皆さんは飛行機の操縦の訓練を受けてない人が操縦する飛行機に乗りたいと思いますか?
みんな絶対に嫌だと思いますよね。なぜなら、飛行機の操縦には自分や人の命がかかっているからです。
では音楽はどうでしょう?
音楽の場合は、理論やルールを無視して音楽を作って演奏しても、人の命が失われることはありません。ですから、理論やルールを学ばないで音楽を作ってしまう人が、時々いるのです。
そうして作られた音楽は、理論を分かっている人が聴いたら、おかしいと分かります。しかし理論を学んでいない一般のリスナーには理論に合っていない所など分からないので、そんなものだと無意識に思いながら聴いてしまっています。
そんな音楽は墜落した飛行機と同じです。もちろん人の命は傷つけませんが、聴く人の音楽の感性(聴く心)をジワジワ傷つけます。
最近はメジャーアーティストを名乗るミュージシャンでも墜落した曲を平気で演奏している場合がよくあります。編曲でも墜落したものが増えています。
どうしてでしょう?
最近のミュージシャンはちゃんと音楽学校で学んでいるはずなのに?
学校がちゃんと教えていない? 本人が真剣に学んでいない?
どちらにしても、私達音楽学校は、日本の音楽文化の衰退を止め、若いミュージシャン達が本来の能力をめいっぱい発揮できるように、もっと真剣に音楽教育を行う努力を、それこそ命がけでやらないといけないと常に思っています。